好決算なのに株価が下がる不思議な現象
こんにちは!今日は、多くの初心者投資家が混乱する現象についてお話しします。
「好決算が発表されたのに、なぜか株価が下がる」
これ、株式投資をしていると、本当によく見る光景なんです。
「おかしいじゃないか!利益が増えてるのに、なんで下がるの!?」
そう思いますよね。でも、これには明確な理由があります。
今日は、この不思議な現象の裏側を完全に解説します。
よくある光景:好決算後の株価下落
実例1:A社の決算発表
2024年5月10日、A社が決算を発表しました。
決算内容:
- 前期売上:200億円(前年比+20%)
- 前期利益:20億円(前年比+25%)
- 今期予想:売上250億円、利益25億円
市場の反応:
- 「増収増益!素晴らしい!」
- 「今期も成長予想!」
- 個人投資家:「これは買いだ!」
決算発表翌日の株価:
- 前日:1,500円
- 翌日:1,350円(-10%の大暴落)
「え?なんで?」
多くの個人投資家が、混乱しました。
実例2:B社の決算発表
2024年8月15日、B社が決算を発表しました。
決算内容:
- 前期売上:50億円(前年比+5%)
- 前期利益:-2億円(赤字)
- 今期予想:売上60億円、利益3億円
市場の反応:
- 「赤字じゃないか!」
- 「売上も微増…」
- 個人投資家:「これは売りだ!」
決算発表翌日の株価:
- 前日:800円
- 翌日:920円(+15%の急騰)
「え?赤字なのに上がるの?」
株価を動かす本質:「期待」vs「現実」
この不思議な現象を理解するには、
株価を動かす本質を理解する必要があります。
株価を動かす2つの要素
株価は、以下の2つで決まります:
1. 期待(思惑):
- 市場が、「この会社は将来どうなるか」と予想している
- 決算発表の前に、すでに株価に織り込まれている
2. 現実(実績):
- 実際に、決算でどんな数字が出たか
- 決算発表で初めて分かる
そして、重要なのは:
株価は、「期待」と「現実」のギャップで動く
図で理解する
ケース1:期待 > 現実
-------------------
期待:「売上300億円、利益30億円くらいいくだろう」
↓
現実:「売上250億円、利益25億円でした」
↓
結果:期待より低い → 株価下落(好決算なのに)
ケース2:期待 < 現実
-------------------
期待:「赤字が続くだろう」
↓
現実:「赤字2億円で、来期は黒字予想です」
↓
結果:期待より良い → 株価上昇(赤字なのに)
つまり、絶対的な数字の良し悪しではなく、
相対的な「期待とのギャップ」で株価が動くんです。
なぜ「期待」が生まれるのか?
では、決算発表前に、どうやって「期待」が形成されるのでしょうか?
期待を形成する5つの要素
1. アナリストの予想
証券会社のアナリストが、
「この会社の売上・利益はこれくらいだろう」と予想を発表します。
例:
- 大手証券A:「売上280億円、利益28億円」
- 大手証券B:「売上290億円、利益30億円」
- 大手証券C:「売上300億円、利益32億円」
市場は、これらの平均値を「コンセンサス(市場予想)」として認識します。
コンセンサス:売上290億円、利益30億円
このコンセンサスが、「期待」の基準になります。
2. 会社自身のガイダンス
会社が前回の決算発表時に、
「今期はこれくらいを目指します」と発表した数字。
例: 前期決算時(3ヶ月前)に発表:
「今期は売上280億円、利益27億円を目指します」
でも、市場は思います:
「会社は控えめに言う傾向があるから、実際はもっと良いだろう」
結果、期待値が上がります:
「実際は売上300億円、利益30億円くらいいくんじゃない?」
3. 四半期ごとの進捗
上場企業は、3ヶ月ごとに決算を発表します。
1Q(1〜3月)、2Q(4〜6月)、3Q(7〜9月)の数字を見て、市場は通期を予想します。
例:
- 1Q:売上50億円、利益5億円
- 2Q:売上60億円、利益6億円
- 3Q:売上70億円、利益7億円
市場の予想: 「この調子なら、4Qは80億円くらいいくだろう」
「通期では売上260億円、利益26億円だな」
4. 業界全体のトレンド
同業他社の決算が良ければ、「この会社も良いだろう」と期待されます。
例: 同業のC社、D社が好決算を発表:
「業界全体が好調なら、A社も良いはずだ」
「むしろ、市場シェアNo.1のA社はもっと良いだろう」
期待値がさらに上がります。
5. 市場のセンチメント(ムード)
市場全体が強気ムードの時は、期待値が高くなります。
例: 市場全体が好調: 「どの銘柄も好決算を出してる」
「A社もきっと期待以上の数字が出るだろう」
好決算なのに下がる5つのパターン
では、具体的にどんなパターンで
「好決算なのに下がる」が起きるのか見ていきましょう。
パターン1:期待が高すぎた
典型例:
市場の期待:
- 売上300億円
- 利益30億円
実際の決算:
- 売上280億円(前年比+20%、素晴らしい!)
- 利益28億円(前年比+25%、素晴らしい!)
結果:
- 期待(300億円)より低い(280億円)
- ギャップ:-20億円
- 株価:下落
個人投資家の反応: 「は?前年比+20%も伸びてるのに、なんで下がるの?」
機関投資家の反応: 「期待より20億円も少ない。失望売り」
パターン2:今期予想が弱い
典型例:
前期決算(発表された数字):
- 売上250億円(前年比+25%、素晴らしい!)
- 利益25億円(前年比+30%、素晴らしい!)
今期予想(会社発表):
- 売上260億円(前年比+4%のみ)
- 利益26億円(前年比+4%のみ)
市場の期待: 「去年+25%伸びたんだから、今年も+20%くらいいくでしょ」
「売上300億円、利益30億円くらいを期待してたのに…」
結果:
- 前期は良かったが、今期が期待外れ
- 「成長が鈍化している」と判断
- 株価:下落
パターン3:一部の数字が弱い
典型例:
決算内容:
- 売上250億円(期待通り)✅
- 営業利益30億円(期待通り)✅
- 純利益18億円(期待25億円)❌
営業利益は良かったけど、純利益が悪い。
理由: 「特別損失が10億円ありました」
市場の反応: 「特別損失…何か問題があったのか?」
「構造的な問題では?」 「不安だから、売ろう」
結果:株価下落
パターン4:決算は良いが、株価がすでに上がりすぎていた
典型例:
決算発表3ヶ月前:株価1,000円 ↓ 決算発表1週間前:株価1,500円(+50%!)
理由: 「A社は好決算を出すだろう」という期待で、すでに買われていた
決算発表:
- 予想通りの好決算
市場の反応: 「予想通りだね。もう知ってた」
「すでに株価に織り込み済み」 「材料出尽くし。売ろう」
結果:株価下落
これを、「好材料出尽くし」と言います。
パターン5:市場全体が弱い
典型例:
A社の決算:完璧な好決算
でも、同じ日に:
- 日銀が金利引き上げを示唆
- アメリカ株が暴落
- 市場全体がリスクオフムード
結果:
- A社の決算は良い
- でも、市場全体が下げている
- A社も引きずられて下落
これを、「地合いが悪い」と言います。
赤字なのに上がる5つのパターン
逆に、「赤字なのに上がる」パターンも見てみましょう。
パターン1:赤字幅が予想より小さい
典型例:
市場の期待:
- 「10億円くらいの赤字だろう」
実際の決算:
- 赤字5億円
市場の反応: 「おっ、予想より良い!」 「思ったより健闘してる」 「買いだ」
結果:株価上昇
パターン2:黒字転換の見通しが見えた
典型例:
前期決算:
- 赤字10億円(悪い)
でも、今期予想:
- 黒字3億円
コメント: 「新規事業が軌道に乗り始めました」
「来期以降、大幅な増益を見込んでいます」
市場の反応: 「おお!ついに黒字化か!」
「ここが底だったんだ」 「今のうちに買っておこう」
結果:株価上昇
パターン3:赤字の理由が明確で、一時的
典型例:
決算内容:
- 赤字8億円
理由(会社説明): 「新工場の建設費用として15億円を計上しました」
「これは一時的な費用です」
「工場が稼働すれば、来期以降は大幅増益です」
市場の反応: 「なるほど、先行投資なのね」
「一時的な赤字なら問題ない」 「むしろ、将来への投資で好材料」
結果:株価上昇
パターン4:市場の期待が低すぎた
典型例:
市場の期待:
- 「赤字30億円くらいいくだろう」
- 「もう、この会社はダメかも」
- 株価:500円 → 300円に下落(決算前に)
実際の決算:
- 赤字5億円
市場の反応: 「え?5億円の赤字だけ?」
「思ったより全然マシじゃん!」 「これは買いだ!」
結果:株価上昇(300円 → 400円)
まだ赤字なのに、株価は上がります。
パターン5:構造改革の成果が見え始めた
典型例:
決算内容:
- 赤字7億円(前年は赤字20億円)
コメント: 「不採算事業から撤退しました」 「固定費を30%削減しました」 「来期は黒字化の見通しです」
市場の反応: 「おお、ちゃんと改革してる」 「赤字幅が大幅に縮小してる」 「経営陣、やるじゃん」
結果:株価上昇
個人投資家が陥る罠
この「好決算なのに下がる」現象で、個人投資家が陥る罠があります。
罠1:決算発表直前に買う
典型的な失敗パターン:
決算発表の2〜3日前: 「この会社、絶対好決算出すよね」 「今のうちに買っておこう」
決算発表:
- 予想通りの好決算
翌日:
- 株価下落(材料出尽くし)
損失確定
なぜ失敗したか:
- すでに期待が株価に織り込まれていた
- 自分が「最後の買い手」になってしまった
罠2:決算発表直後に飛びつく
典型的な失敗パターン:
決算発表(夜): 「うわ!超好決算じゃん!」 「明日、絶対上がる!買おう!」
翌朝、寄り付きで成行買い:
- 株価1,500円で約定
でも、その後:
- 1,500円が高値
- 1,400円 → 1,300円と下落
損失
なぜ失敗したか:
- 同じことを考えている人が大勢いる
- 寄り付きで高値を付けて、その後下落(これを「寄り天」と言う)
- 冷静に考えると、期待より低かった
罠3:決算の数字だけ見て判断
典型的な失敗パターン:
決算内容:
- 増収増益!素晴らしい!
でも、見落としていたこと:
- 今期予想が弱い
- 営業利益率が低下している
- 市場の期待より低い
結果:
- 買った途端に下落
罠4:赤字というだけで売る
典型的な失敗パターン:
決算内容:
- 赤字3億円
「赤字じゃん!売ろう!」
でも、実は:
- 市場の期待は赤字10億円だった
- 黒字転換の見通しが出ていた
- 一時的な先行投資による赤字だった
結果:
- 売った途端に株価が上昇
- 機会損失
株研メソッドでの対処法
では、株研メソッドでは、決算をどう扱うのでしょうか?
基本方針:決算は無視する
重要:株研メソッドでは、決算発表のタイミングは基本的に無視します。
なぜなら:
- 決算の良し悪しは、プロでも判断が難しい
- 期待とのギャップを正確に測るのは不可能
- 短期的な値動きに振り回される
代わりに:
- 月足チャートだけを見る
- 2ヶ月連続陽線を待つ
- 決算の内容ではなく、市場の反応(株価)を見る
決算発表後の対処法
もし、保有している株の決算が発表されたら?
ケース1:好決算で株価が上昇
→ 特に何もしない → ルール通り、+2σや2ヶ月連続陰線まで待つ
ケース2:好決算なのに株価が下落
→ 慌てない → 月足で見て、まだ上昇トレンドなら保有継続 → 一時的な調整と判断
ケース3:悪決算で株価が下落
→ 月足チャートを確認 → 2ヶ月連続陰線が出たら売却 → それまでは保有継続
ケース4:悪決算なのに株価が上昇
→ ラッキー → ルール通り保有継続
重要な原則
「決算の内容」ではなく、「市場の反応(株価の動き)」を見る
決算が良いか悪いかは、プロでも判断が分かれます。
でも、市場の反応(株価)は嘘をつきません。
- 市場が「良い」と判断すれば、株価は上がる
- 市場が「悪い」と判断すれば、株価は下がる
私たちは、その結果を見て判断すれば良いだけです。
実例:私の経験
実例1:好決算で買って失敗
2016年、投資を始めたばかりの頃
C社の決算:
- 前年比+30%の増収増益
- 「これは買いだ!」
決算発表翌日、飛びついて購入:
- 購入価格:1,200円
その後:
- 1,200円 → 1,100円 → 1,000円と下落
3ヶ月後:
- 株価:900円
- -25%の損失
何が間違っていたか:
- 市場の期待は+40%の成長だった
- +30%では「期待外れ」と判断された
- すでに株価に織り込まれていた
実例2:赤字でも保有して成功
2020年、コロナショック時
F社を保有中(購入価格:680円)
3月の決算:
- 赤字5億円
- コロナの影響で苦戦
株価:
- 680円 → 420円に暴落
「やばい…売るべきか?」
でも、会社のコメント: 「EC需要は増加している」 「今期後半から回復見込み」
私の判断:
- 月足チャートを確認
- まだ上昇トレンド内
- 保有継続
結果:
- その後、株価は1,250円まで回復
- +83%の利益
正しかった理由:
- 決算の内容ではなく、チャートを見た
- 短期の値動きに惑わされなかった
- ルールを守った
よくある質問
Q1:決算発表日は避けるべき?
A:株研メソッドでは、決算発表日を気にする必要はありません。
月足チャートで判断するので:
- 月に1回しか取引しない
- 決算がいつあったかは関係ない
- 月末の株価だけを見る
Q2:決算短信は読むべき?
A:必須ではありません。読めれば尚良い、程度です。
決算短信を読んでも:
- 期待とのギャップは分からない
- プロでも判断が難しい
それより:
- 業種と事業内容を理解する
- 時代の流れに乗っているか見る
これらの方が重要です。
Q3:決算発表前に売るべき?
A:ルール通りに判断してください。
- +2σに到達していれば、売る
- 2ヶ月連続陰線が出ていれば、売る
- それ以外なら、保有継続
決算発表を理由に売買しません。
Q4:IRページは見るべき?
A:企業のビジネスモデルを理解するために、一度見るのはおすすめです。
でも、決算ごとに細かくチェックする必要はありません。
まとめ:市場の反応だけを見る
今日の重要ポイント
- 株価は「期待」と「現実」のギャップで動く
- 好決算でも、期待より低ければ下がる
- 赤字でも、期待より良ければ上がる
- 期待は、決算前にすでに株価に織り込まれている
- アナリスト予想
- 会社ガイダンス
- 業界トレンド
- 個人投資家が陥る罠
- 決算直前に買う(材料出尽くし)
- 決算直後に飛びつく(寄り天)
- 数字だけで判断する
- 株研メソッドの対処法
- 決算は基本的に無視
- 月足チャートだけを見る
- 市場の反応(株価)を見る
- 大切なのは、ルールを守ること
- 感情で判断しない
- 2ヶ月連続陽線を待つ
- +2σで売る
実践のためのアドバイス
決算発表があっても:
- 慌てない
- 月足チャートを確認
- ルール通りに判断
- 感情を入れない
決算の内容より、株価の動きを見る:
- 市場が「良い」と判断すれば、株価は上がる
- 市場が「悪い」と判断すれば、株価は下がる
- その結果を見て判断する
最後に:市場の声を聞く
決算の良し悪しを自分で判断しようとすると、必ず失敗します。
なぜなら、プロでも難しいからです。
だから、市場の声(株価)を聞きましょう。
市場は、何千何万人の投資家の総意です。
その総意が、株価に表れます。
私たちは、その声に従うだけで良いんです。
それが、株研メソッドの考え方です。
今日のポイント:
- 好決算でも株価が下がることはよくある
- 株価は「期待」と「現実」のギャップで動く
- 期待は決算前に株価に織り込まれている
- 決算の内容より、市場の反応を見る
- 株研メソッドでは決算を基本的に無視
- ルールを守って、感情を入れない
次回は、「市場が個人投資家に不利な3つの理由」で、
さらに市場の仕組みの裏側をお話しします!

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