損切りできない人の心理と対策
はじめに – 「損切りできない」という罠
「買った株が下がってる…」
「でも、ここで売ったら損が確定しちゃう…」
「きっとまた上がるはず…」
そう思って、結局売れずに塩漬け株を抱え続けてしまう。
これは、多くの個人投資家が陥る典型的な罠です。
でも、実は「損切りできない」ことは、必ずしも悪いことではありません。
ハワード・ジョイマン氏はこう言います:
「投資の基本は現物取引です。
信用取引はやらないようにしてください。
だって現物投資だったら売らなければいいだけですからね」
今日は、なぜ人は損切りできないのか、
そして株研メソッドではなぜ「損切りしなくてもいい」のか、
その心理と対策を詳しく解説します。
損切りできない心理のメカニズム
心理1:損失回避バイアス
【人間の本能】
利益を得る喜び:+10万円
損失を被る苦痛:-10万円
心理的には:
損失の苦痛 > 利益の喜び
(約2倍の差がある)
行動経済学の研究:
人は利益を得ることよりも
損失を避けることに
より強い動機を持つ
= 損失回避バイアス
株式投資での現れ方:
【利益が出ている時】
1万円の利益:
「これ以上下がる前に売ろう」
→ 早めに利確してしまう
【損失が出ている時】
1万円の損失:
「損を確定したくない」
→ なかなか売れない
= 利小損大のパターン
心理2:認知的不協和
【自己正当化の心理】
自分の判断:「この株は上がる」
現実:株価が下落
↓
矛盾が生じる(認知的不協和)
↓
矛盾を解消しようとする:
「一時的な下落だ」
「きっとまた上がる」
「買った判断は間違っていない」
↓
売れない
具体例:
Aさんの思考:
「この会社の将来性を信じて買った」
↓
株価が30%下落
↓
「自分の判断が間違っていた」
と認めたくない
↓
「一時的な調整だ」と自分に言い聞かせる
↓
さらに下落しても売れない
心理3:サンクコスト効果
【すでに投じたコストへの執着】
サンクコスト(埋没費用):
すでに投じてしまい、
取り戻せないコスト
株式投資では:
購入に使った資金
調査に費やした時間
学習した知識
非合理な思考:
「100万円も投資したのに...」
「あんなに調べたのに...」
「もったいない」
理性的には:
過去のコストは関係ない
未来の期待値だけで判断すべき
でも感情的には:
投じたコストが大きいほど
手放せなくなる
心理4:プロスペクト理論
【確実性効果】
【パターンA】
確実に10万円もらえる
【パターンB】
50%の確率で20万円
50%の確率で0円
期待値は同じ(10万円)
でも、多くの人はAを選ぶ
= 確実性を好む
損失時の逆転:
【パターンC】
確実に10万円の損失
【パターンD】
50%の確率で20万円の損失
50%の確率で損失0円
期待値は同じ(-10万円)
でも、多くの人はDを選ぶ
= 損失時はギャンブルを好む
株式投資での現れ方:
含み損を抱えた時:
確実な損切り:-10万円
vs
保有継続(ギャンブル):
「もしかしたら戻るかも」
多くの人は後者を選ぶ
= 損切りできない
心理5:アンカリング効果
【購入価格への固執】
アンカー(錨):
最初に認識した情報が
その後の判断に影響を与える
株式投資では:
購入価格 = アンカー
具体例:
購入価格:1,000円(アンカー)
現在価格:700円
心理:
「1,000円で買ったのに...」
「1,000円に戻るまで待とう」
「700円で売るなんて損だ」
でも実際は:
過去の1,000円は関係ない
今後の見通しだけが重要
「損切りできない」が問題になる場合
ケース1:信用取引の場合
【最大の問題】
信用取引:
お金を借りて投資
↓
株価下落
↓
維持率が低下
↓
追証(追加保証金)の要求
↓
入金できないと強制決済
↓
損失確定
自分の意思に関係なく
損切りさせられる
ハワード氏の警告:
「僕が損したのってほぼ信用取引なんですよ。
だって現物投資だったら売らなければいいだけですからね」
具体例:
自己資金:100万円
信用取引で300万円投資(3倍レバレッジ)
↓
株価が20%下落
↓
維持率が割り込む
↓
追証50万円の請求
↓
用意できない
↓
強制決済
↓
損失60万円確定
「もう少し待てば戻ったのに...」
でも、もう遅い
ケース2:資金が必要になった時
【流動性の問題】
現物で塩漬け中:
↓
急に現金が必要に:
- 医療費
- 教育費
- 事業資金
↓
損失覚悟で売却
↓
その後、株価回復...
対策:
投資資金の大原則:
「余裕資金で投資する」
余裕資金とは:
- 5年以上使わない資金
- 生活費ではない
- 緊急予備費とは別
ケース3:機会損失が大きい時
【資金の固定化】
塩漬け株:
100万円分(含み損30万円)
↓
売れない
↓
資金が固定化
↓
他の良い投資機会を逃す
↓
機会損失
考え方:
【固定化された資金】
今:70万円の価値
将来:100万円に戻る?(不確実)
【損切りして再投資】
今:70万円
2ヶ月連続陽線の銘柄に投資
将来:140万円の可能性
どちらが合理的?
株研メソッドでは「損切り不要」の理由
理由1:現物取引が大前提
【現物取引の特徴】
✅ 借金していない
✅ 強制決済がない
✅ 時間を味方にできる
✅ 配当をもらいながら待てる
✅ いつか戻る可能性がある
ハワード氏の基本ルール:
「投資の基本は現物取引です。
信用取引はやらないようにしてください」
塩漬けOKの根拠:
現物投資なら:
下がっても売らなくていい
↓
待っていれば上がる可能性
↓
実際、ハワード氏も経験:
「塩漬け株がプラスになって、
でそのチャートを見ていたら、
他のもそうじゃんっていうことで、
もう共通点に気づいた」
理由2:底値圏で買っているから
【下落余地が限定的】
株研メソッドの買い方:
- ボリンジャーバンド-2σ、-3σ
- 2ヶ月連続陽線後
- 株価1000円以下
= すでに底値圏
さらに下がっても:
- 限定的な下落
- 最悪でも1円まで(0円はない)
- 上昇余地の方が大きい
具体例:
800円で購入(-2σ付近)
↓
700円に下落(-10%)
↓
でも、すでに底値圏
↓
これ以上の大幅下落は考えにくい
↓
待っていれば戻る可能性が高い
理由3:2ヶ月連続陽線で確認済み
【上昇トレンド入りを確認】
買う前の確認:
✅ 2ヶ月連続陽線
✅ 機関投資家が仕込み済み
✅ 上昇トレンド開始
一時的に下がっても:
- 大きなトレンドは上向き
- 調整局面として待てる
ハワード氏の経験:
「実際にはここですよね。その3ヶ月目の初日、
そうするとより一瞬こう下がってるんだけども、結局上がってますよね」
理由4:時間軸が長い
【中長期投資の強み】
デイトレーダー:
- 1日で結果を出す必要
- 損切りが必須
株研メソッド:
- 数ヶ月〜数年のスパン
- 途中の下落は気にしない
- 月1回しかチェックしない
時間の味方:
短期:
小さな変動に振り回される
損切りの連続
長期:
大きな流れを捉える
途中の変動は無視
最終的に利益
損切りが必要な例外ケース
例外1:致命的な悪材料
【企業の存続危機】
✅ 粉飾決算の発覚
✅ 重大な不祥事
✅ 主力事業の撤退
✅ 経営陣の総辞職
✅ 倒産の可能性
これらは「損切り」を検討
判断基準:
「この会社の将来はあるか?」
YES → 保有継続
NO → 損切り検討
具体例:
【保有継続できるケース】
一時的な業績悪化
競合の台頭(対抗策あり)
市場全体の下落
【損切りすべきケース】
法令違反で営業停止
主要取引先の喪失
技術的な致命的欠陥
例外2:投資判断が根本的に間違っていた
【前提条件の崩壊】
買った理由:
「DX需要で成長する」
↓
現実:
「DX事業から撤退した」
↓
前提が崩れた
↓
損切りを検討
自己分析:
「なぜこの株を買ったのか」
↓
その理由が今も有効か
↓
NO → 損切り検討
YES → 保有継続
例外3:2ヶ月連続陰線が出た
【株研メソッドの売りサイン】
保有中に:
月1:陰線
月2:陰線
= 2ヶ月連続陰線
下落トレンド入りの可能性
↓
売却を検討
ただし:
含み損でも売る?
判断基準:
- トレンドが下向きか
- ボリンジャーバンドの位置
- 企業の状況
総合的に判断
「損切りしない」ための対策
対策1:余裕資金で投資する
【絶対条件】
投資資金の出所:
❌ 生活費
❌ 緊急予備費
❌ 近々使う予定のお金
⭕ 5年以上使わない余裕資金
⭕ なくなっても生活に影響しない
目安:
総資産:1,000万円の場合
生活費(6ヶ月分):150万円
緊急予備費:150万円
近々使う予定:200万円
投資可能額:500万円 ← この範囲内
対策2:分散投資する
【リスク分散】
100万円を1銘柄:
- その銘柄が下がる = 全損失
- リスク集中
100万円を5銘柄(各20万円):
- 1銘柄下がっても影響限定的
- 他でカバーできる可能性
- リスク分散
推奨配分:
投資資金:100万円の場合
銘柄A:30万円
銘柄B:25万円
銘柄C:25万円
銘柄D:20万円
残り(現金):0万円〜
次のチャンス用に現金を残すのもあり
対策3:購入前に売却ルールを決める
【事前ルール】
買う前に決めておく:
売却条件1:
+2σタッチ
売却条件2:
2ヶ月連続陰線
売却条件3:
目標株価到達(例:2倍)
損切り条件:
致命的な悪材料のみ
これを株ノートに記録
感情に左右されない:
ルールを決めていないと:
「どうしよう...」
「売るべきかな...」
感情的な判断
ルールがあると:
「条件を満たすまで保有」
機械的な判断
対策4:月1回しかチェックしない
【頻度を減らす】
毎日チェック:
- 小さな変動に反応
- 感情的になる
- 損切りしたくなる
月1回チェック:
- 大きな流れだけ見る
- 冷静でいられる
- ルール通りに行動
ハワード氏の教え:
「月に1回、月末だけ見るようにしてください」
対策5:株ノートで心理を記録
【感情の可視化】
株ノートに記録:
日付:2024年10月31日
銘柄A:含み損-15%
気持ち:不安。売りたい衝動。
でも:2ヶ月連続陰線ではない。
判断:保有継続。
翌月:
日付:2024年11月30日
銘柄A:含み益+5%
気持ち:安心した。
判断:まだ+2σではない。保有継続。
効果:
自分の感情の動きが見える
↓
「いつも不安になるけど、
結果的には上がっている」
↓
次回から冷静でいられる
塩漬け株の活用法
活用法1:配当をもらいながら待つ
【時間を味方にする】
含み損の株を保有中:
配当利回り:3%
保有期間:3年
3年間の配当合計:9%
↓
含み損が実質的に減る
↓
さらに株価が戻れば
配当+値上がり益
具体例:
購入:1,000円 × 1,000株 = 100万円
下落:700円(含み損30万円)
配当:年3万円(3%)
5年後:
配当累計:15万円
株価回復:900円
↓
含み損:10万円 - 配当15万円
= 実質+5万円
活用法2:株式分割を待つ
【分割で株価半分に】
含み損の株:
購入価格:1,000円
現在価格:600円
含み損:400円
株式分割(1:2)実施:
購入価格:500円(換算)
現在価格:300円(換算)
含み損:200円
心理的に楽になる
さらに、分割後は上がりやすい
ハワード氏の指摘:
「10年以下の会社ですと、株式を分割してくれる可能性があります」
活用法3:税金対策に利用
【損出し】
年末に:
含み益の株:売却して利益確定
含み損の株:売却して損失確定
↓
利益と損失を相殺
↓
税金を減らす
そして:
損失確定した株を買い直す
(翌日以降)
注意:
同日に売買すると
「洗い替え」とみなされる可能性
最低1営業日は空ける
よくある質問
Q1: 含み損30%。損切りすべき?
A: 現物なら保有継続を検討。
確認事項:
□ 致命的な悪材料はないか
□ 2ヶ月連続陰線か
□ 企業の将来性はあるか
すべてNO → 保有継続
1つでもYES → 損切り検討
30%程度なら:
現物なら待てる可能性が高い
Q2: いつか戻りますか?
A: 保証はできませんが、可能性は十分にあります。
株研メソッドで買った場合:
- 底値圏で買っている
- 2ヶ月連続陽線後
- 時代の流れに乗った企業
条件を満たしていれば:
戻る可能性は高い
ハワード氏の経験:
「塩漬け株がプラスになった」
Q3: 塩漬け株が多すぎて…
A: 分散投資のルールを見直す。
【問題】
10銘柄中8銘柄が塩漬け
= 銘柄選定に問題あり
【対策】
1. 株研メソッドの条件を再確認
2. 2ヶ月連続陽線を守ったか
3. ボリンジャーバンドを確認したか
4. 高値圏で買っていないか
次回から:
条件を厳格に守る
Q4: 精神的に耐えられない…
A: 投資額を減らす。
【原因】
投資額が大きすぎる
= 余裕資金ではない
【対策】
1. 投資額を半分にする
2. 「なくなってもいい」金額に
3. 毎日チェックしない
4. 本業に集中
精神的に楽になる
↓
冷静な判断ができる
↓
結果的に勝てる
まとめ – 損切りできなくても大丈夫
株研メソッドの基本姿勢
【損切り不要の条件】
1. 現物取引のみ
→ 強制決済なし
2. 余裕資金で投資
→ 時間を味方にできる
3. 底値圏で買う
→ 下落余地が限定的
4. 2ヶ月連続陽線後
→ 上昇トレンド確認済み
5. 月1回しかチェックしない
→ 感情に左右されない
損切りが必要な例外
❌ 致命的な悪材料
❌ 前提条件の崩壊
❌ 2ヶ月連続陰線
❌ 信用取引の場合
これら以外は:
塩漬けOK
待つことも戦略
ハワード氏からのメッセージ
「僕が損したのってほぼ信用取引なんですよ。
だって現物投資だったら売らなければいいだけですからね」
「塩漬け株がプラスになって、
でそのチャートを見ていたら、
他のもそうじゃんっていうことで、もう共通点に気づいた」
あなたがすべきこと
【今日から実践】
□ 信用取引はしない(現物のみ)
□ 余裕資金で投資する
□ 購入前に売却ルールを決める
□ 月1回しかチェックしない
□ 株ノートで感情を記録 □ 塩漬けを恐れない
【心に刻む言葉】
「損切りできない = 悪いことではない」
「現物なら待てる」
「時間は味方」
「感情ではなくルールで判断」
次のステップ
損切りの心理を理解したら、
次は他の感情コントロールも学びましょう。
次に読むべき記事:
- 「感情を投資に持ち込んではいけない理由」
- 「利益確定が早すぎる人の心理と改善法」
- 「株価の上下に一喜一憂しない方法」
- 「現物取引だけをする理由【信用取引の危険性】」
覚えておいてほしいこと:
「損切りできない」という悩み。
それは、 人間として自然な心理です。
でも、 株研メソッドなら、 損切りできなくても大丈夫。
現物取引で、 底値圏で買って、 時間を味方にする。
これが、 損切りの苦しみから 解放される唯一の方法です。
焦らず、待つ。 それも立派な戦略なのです。
【重要】この記事のポイント
✅ 損切りできないのは人間の本能
✅ 現物取引なら損切り不要
✅ 底値圏で買えば下落余地が限定的
✅ 時間を味方にできる
✅ 月1回チェックで感情をコントロール
✅ 致命的な悪材料以外は保有継続
✅ 塩漬けを恐れない
投資は自己責任で行いましょう。
この記事は特定の投資行動を推奨するものではありません。
損切りの判断は個々の状況に応じて慎重に行ってください。

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